2日目*初めての恋は君のもの。

15/51
前へ
/180ページ
次へ
子どもの頃に戻ったみたい。 ふたりきりの家の中で、私がお菓子を作って、凌がそれを見ながら「すごい、すごい」って喜んで。 楽しかったなぁ。 クスッと笑いながら、出来上がった生地を円柱状に転がして、少し冷蔵庫で寝かせる。 オーブンを予熱している間に、包丁を用意。 今まで作ってきたクッキーなら型で抜くところだけど、クッキーを作るつもりでこのマンションには来ていないから、 今日は円柱状にした生地を包丁で切ることにする。 まな板の上で、包丁を使う。 トントンという音で、凌が一度顔を上げた。 「琴香、なにやってんのー?」 「クッキー切ってる」 「へー」 それだけ聞くと、また台本に目を落とす。 そののんびりとした声に、安心する。
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

214人が本棚に入れています
本棚に追加