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眠そうに目をこすって、枕を片手に、凌は部屋を出ようとする私のあとをついてくる。
私はくるっと振り返って、両手で大きな体を押し戻した。
「枕は置くの。パジャマは、制服に着替えてからね」
「そんなことしてたら、せっかくつくってくれた……ごはんがさめる……」
と、途切れ途切れに喋る姿も、目を閉じたり開いたり、すごく眠そう。
ひとり暮らしを心配していた、凌のママの気持ちが、本当によく分かる。
ひとりにしていたら、絶対に学校に行かない。
寝ぼけ眼で、着替えようと自分の袖を引っ張るけど、いつまで経ってもそこから進展しない姿を見て、そんなことを考える。
「ぬげない……」
「なにやってるの。こうやって、頭を出すんだよ」
同い年の高校生男子に対して、私は一体なんのレクチャーをしているのだろう。
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