3日目*同じ部屋に帰りたい。

7/46
前へ
/180ページ
次へ
ずっと見てきた凌の顔なのに、たまにまだ、知らなかった表情を見せることがある。 この同居は、そういうことでもある。 気をつけなきゃ。 ずっと背中で扉を押さえていると、コンコンとノックする音と振動で、視線をそちらに向けた。 「着替えたよ。出ていい?」 突き飛ばしたせいだろうか。 目が覚めたからなのか、口調が幾分(いくぶん)かハッキリして聞こえる。 扉を出た凌の姿は、高校に入ってから朝に毎日見ていた制服姿に変わっていた。 寝癖があるけど。 「いいにおいがする……」 「うん、ご飯食べよう。その前に、洗面所行ってきてね」 「ん」 こくんとうなずく姿は、いつもの凌で、ホッとする。
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

214人が本棚に入れています
本棚に追加