彼女は自動販売機について学ぶ

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彼女は自動販売機について学ぶ

昼ごはんを買い忘れた…。それに気づいた時すでに遅し。売店はもうすでに長蛇の列が並んでいた。 まぁ、ご飯を買い求めるみんなは俺と同志と言っても過言ではない。 短いお昼休みに最短で自分の食べたい食事を選び、長きにわたる待ち時間を耐えようやく飯にありつく。もう少しの辛抱。耐えるんだ!俺と同志たちよ! 無事昼飯を買い、ツレが待っている教室を帰ろうとしたが、飲み物を買い忘れた事に気づいた俺は売店から階段を昇って3階東校舎に設置してある自動販売機まで足を運んだ。 東校舎は主に準備室とか視聴覚室など特別教室が設置してある校舎で、ほとんど使うことはないし生徒もあまり近寄らない。 初めて使う3階校舎の自動販売機は別のところに設置している自動販売機と品揃えが違っていた。 「きな粉ハチミツジュース」「アメリカンサイダー マンゴー味」「七変化コーヒー」どれも面白い商品が並んで目移りするが、どれも味のチョイスが独特すぎて悩んでしまう。 チャリンチャリンと小銭を入れて「季節限定!フルーツ味」と書かれた飲料のボタンを押した時、背後に誰かいる事に気づいてギクリとする。 振り返れば、俺の腰くらい、150センチくらいの女性がそこに立っていた。まぁ、身長は小学生くらいなのだが、制服をきているのだから多分俺と同じ一年生なのだろう。 俺がジュースを自販機の取り出し口から取って順番を変わると、彼女も俺と同じようにチャリンと小銭を入れ、俺と同じジュースのボタンを押そうとしている。 しかし、どんなに背伸びしてもボタンが手に届くことはなかった。 「手伝おうか?」  見かねた俺は声をかけた。
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