その夜

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その夜

 夕食を1人で済ませ、床に就いた約1時間後、  柊二も帰ってきた。  とっさに目を瞑ったボクの傍らに立ち、髪を撫でながら  身を屈めてきて顔を覗きこまれた。 「……寝た、のか?」  その声に答えず布団に潜ると、  何も言わず彼はシャワーを浴びに出て行った。  どうしよう、凄くドキドキする。  触れられただけで、声を聞いただけで、  胸が苦しくて息もしずらい。  やっぱりボクは彼が……柊二の事が好き、なんだ。  好きだから、苦しい……。  シャワー上がりの柊二が、いつものように  ボクに傍らへするりと入って来た。 「―― 倫、起きてるんだろ?」 「……寝てる」  何とか、普通に答えると ―― 「そうか、寝てるのか」  含み笑いを漏らしながら、  ボクの体を背後から抱きしめてきた。  その後の流れは容易に想像できたので、  ボクは身を捩った。 「明日は早番だからダメ」  そんなボクの言葉など完全無視(シカト)でボクの項に熱い口付け。 「はぁ ―― っ」  それだけでダイレクトに体の中心が火照る。 「……体、熱いな。今のキスだけで感じたか?」 「調子にのるな」 「今日の倫太朗くんは可愛くない。よって、お仕置きが  必要だな」 「バカ柊二」  強引に向きを変えさせたボクにキスをしてきた。  荒々しく、貪るような口付け。  拒めなかった……嬉しかったから。  互いを貪るように、体を求め合い。  絡め合った。
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