シェアハウス”山谷No.2”

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シェアハウス”山谷No.2”

 和志さんが手配してくれた部屋はシェアハウスと言っても  従来の雑居型の物ではなく。  集合玄関・LDK・バストイレ・ランドリー、等の  共有スペースもあるけど、  個人の居室にもワンルームマンションの設備がある  タイプの物だった。  最寄り駅にも商店街にも近いし、  ここなら出発まで快適に過ごせそうだと思った。  それに何より、ボクが注目したのは、  入居者の約8割が留学生でその気になれば  共有LDKで生きた英語が学べるって事だ。  今朝、マンションから宅急便で送った荷物は  森下家経由で部屋へ届けられていた。     あつしとボクは、近所のコンビニで弁当と酒の肴を買い、  部屋で酒盛りを始めた。 「……けどよ~、柊二は大人しく引き下がるかねぇ~」 「結婚すれば……時が経てば、ボクの事なんかきっと  忘れる」 「話しを聞いた限りじゃ、かなりお前に入れ込んでる  みたいじゃん?」 「……」 「本当のところ、お前はどう思ってたん?   柊二に惚れてなかったのか?」 「……遊びだって、割り切れてたら、どんなに良かった  かって思えるくらい、好きだった」  しばらく間をおいて、あつしが呟いた。 「……胸、貸してやってもいいぜ」 「あ? 何しに?」 「お前、泣きそうな顔してるから」 「!!……」 「ガキの頃から人一倍泣き虫のくせして、  こんな時だけやせ我慢すんじゃねぇよ」 「……」  これまで必死にひた隠し、押さえ込んでいた感情が  あつしの「やせ我慢するな」のひと言で、  一気に溢れ出た。  あつしは号泣する俺を、ガキの頃みたいに  ガシっと力強く抱き止めてくれた。
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