次なる一手

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次なる一手

 今日、ひと足先に大吾先生がNYへ旅立った。  次はボクの番だ。  辞令告知から出発まであまり時間に余裕がなかった為、  大吾先生の送別会は開けなかった。  けど、大吾先生は出発当日の今日、  慌ただしい時間をやりくりして  皆んなへしばしの別れを告げて行った。  そして今日は、出産休暇で長らく休職しておられた  田代先生が職場復帰した。  院長は田代先生の代替で勤務していた柊二にも  勤務の続投を打診していたが、  今日正式に各務家から辞退の返答があったそうだ。  そして各務では近日中にも広嗣さんが  お父上の跡を継ぎ正式に社長就任。  柊二は子会社の代表取締役社長に就任するそう。  ボクは遅くとも*月中には出発出来るよう  本格的に動き出した。  より一層、仕事に精を出し。  大吾先生のやり残して行った事務処理にも追われ、  ビジネス英会話教室へ通ったりと、  言葉通り目まぐるしい日々を過ごしている。  教室でのグループレッスンの後、  個人レッスンも終わり、  先生から勧められた英語小説の原書を買う為、  本屋へ向かっているとあつしから電話が入った。 『おぅ、これから何か予定ある?』 「本屋に行って、後は帰る」 『じゃ、神田神社(神田明神)の酔桜祭り行こうぜ。  本屋は何処さ?』 「神保町の三省堂」 『なら、明神さま近いじゃん。  俺もこれからすぐ出るから、終わったら電話して』 「分かった」  通話を切り、駅に向かう。  本当は、各務の本社もあるので文京エリアには  長居したくなかった。  先生に勧められた本は三省堂オリジナル本で  そこで買うしかない。  店は駅に近いし、万が一、偶然会う事があっても  逃げ道はたくさんある。  と、気持ちを切り替え、電車に乗った。
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