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vol.5深夜に徘徊するわけありな人々
深夜、タクシーに乗って樹海に向かう人がいると言います。
タクシーの運転手さんにも二種類いるといいます。
・止める人
・連れていく人
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倫理的に言えば、止める人のほうがよいとされます。
「あなた、若いんだからまだ死ぬんじゃないよ」
「まだまだ未来があるんだから」
などと言われ、元気づけようと駄洒落の一つでも言われようものなら、私なら、殺人と自殺の二つの罪を重ねます。多分ですが。
私は連れていく人のほうに優しさを感じます。
誰だって嫌なんですよ、死なれるのは。
でも、本人がそうしたいものはしょうがない。
少し話をして、「やっぱり戻ります」と言ったら連れて帰ってくれる人。
万が一、いつか私が樹海を目指したら、
そんな相手に出会いたいものです。
私も取材相手に死なれたり、取材中に死なれたりしています。
本当に、気が重く、しばらくのあいだは身動きが取れなくなるくらいきついものです。
とはいえ、「死にたい」という人に、「死んではいけない」とは言えません。言いませんし。
できることがあるならするけれども、止められないです。
私もまた、自分が死にたくなったら止めないで欲しいタイプです。
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