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私はEさんと会ったあと、ネットカフェに戻りました。
そして、持参していたバッグのなかを覗くと、何かが入っています。
Eさんが深夜に書くと言っていた手紙のうちの一通のようです。
Eさんが、いつの間にか私のバッグのなかに入れたのです。
律儀にも、私の名前の横に、舐めれば8キロカロリーの84円切手が貼られています。
住所の記載はないのに、です。
裏を返すとEさんの部屋の住所が書かれていました。
「この手紙は天国に行けるか地獄に行けるかの途中で書いています」
などという書き出しでした。
私は心臓がどきっと脈打ち、その先を読む前にEさんの家に向かっていました。
手紙を持ったつもりが、置き去りにしてしまいました。
私はそのころ、お金を持っていたので、タクシーを使います。
正直、私は動揺していました。
さらに白状すれば、「どうしてこんな面倒なことをするのだろう」と思いました。
私にどうしてほしいのだろう。
私とEさんのあいだに何があるのだろう。
Eさんのことはそんなに重要ではない。
タクシーのなかで、私はそのように感じていました。
この感情は、Eさんが亡くなっていたら悲しみすぎないで済むように、の予防線だったのだと思います。
彼氏と天国へ行きたい。
そこで暮らす。
だれにも邪魔されずに二人で暮らすよ。
Eさんはそう語っていました。
ということは彼氏も連れていくのか。
彼氏から持ち掛けられた心中なのか。
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