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みまりは繁華街に向かった。
でも、繁華街のなかを歩いたりはしない。
勢いが苦手だった。
ちょっと外れた場所のカフェに入った。
ネオンを受けながら、みまりは辺りをきょろきょろとした。
店の外からみまりを見ている男性がいた。
スーツを着ている。
何度も行ったり来たりして、見ている。
店に入ってきた。
みまりは立ち上がり、店を出るふりをした。
男性はみまりの横にすっと来て「いくら?」と訊いた。
そんなつもりではなかったみまりは一瞬、驚いた。
「そういうんじゃないんです」
みまりは言った。
「でも、今夜ひま?」
「どうでしょう」
みまりは繁華街の前を歩いた。
男性はついてくる。
「じゃあ、欲しいものない?」
男性は訊く。
「なんで、遊ぼうって誘わないんですか?」
みまりは訊いた。
「あとくされないほうがいいから、安いものでも欲しがってくれたほうがいいんだけど」
男性は言った。
痛い目を見ているらしい。
みまりは「私のほうにも彼氏がいるので、あとくされはないですよ」と言った。
男性はにやっとして、「じゃあ、行こう」と言った。
「どこへ?」
みまりは訊いた。
「ホテル、じゃないの?」
「ホテルで何をするの?」
「いろいろ。大きなお風呂もあるし、バリのリゾート風のいい感じのホテルだから。マッサージもさせてあげるよ」
「・・・」
「好きなものを食べていいし、お酒も飲もうよ」
男性は言いました。
「可愛いから欲情しちゃったんだよ」
男性が言った。
その言葉に、みまりは立ち止まる。
「もう一回言ってみて」
「すっごい可愛いから、したくなっちゃった」
その言葉に満足して、みまりは男性とホテルへ向かった。
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