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「あかりちゃーん、レジ頼める?」
はーい、と返事をして調理場から店の中に出る。目前のショーケースの中には、キラキラと輝くケーキたちがきれいに並んでいる。どれも私が作ったもの。この仕事を始めてもう六年、少しは成長できたかな。
そんなわが子のようなケーキたちをうれしそうに眺めていた男性はひょこっと体を上げてショートケーキとチョコレートケーキを指さした。
「これとこれを一つずつお願いします」
「かしこまりました。保冷材はお付けいたしましょうか?」
「あー、じゃあお願いします」
私はトングで優しくケーキを掴んで箱の中に入れる。
「……あかり?」と低い声で呼ばれて私はあたりを見渡す。この職場に男性はいないはずなのに、確かに名前を呼ばれた。恐る恐る後ろを振り返るとばつが悪そうに苦笑いをしたお客様がいた。
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