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次の日も雨。私は新しい傘を広げ、足取りも軽く登校した。
「えー、傘くらい自分で選ぼうよ。その上500円って、適当すぎるー」
昇降口でばったり会った友達に、何の気なしに傘のことを話したら笑われた。去年は同じクラスで、結構仲の良かった子だ。
「お兄さんの傘、借りてきたのかと思った」
「え……?」
私はほんの少しムッとした。でも、彼女の呆れた様子に怯み、
「やっぱりそう思うよねー」
なんて、本音をごまかしてしまった。
そんなの、全然違うのに。
彼女の傘はピンクで、小花のプリントとレースの縁取りが可愛らしい。
柄もほっそりとしている。
彼女は靴を履き替えると、クラスの子とお喋りしながら、行ってしまった。
一人残された私は、閉じた傘をぐるぐるに巻いてホックを留め、傘立ての端にそっと立ててみる。思ったとおり、赤やピンクに囲まれた青い傘はとても目立つ。
ここは全校合わせて700名の生徒が通う、女子高なのだ。
(寒色系の傘もあるけど、ほとんどパステルカラーだもんね)
親が選んだことも、500円だったことも別に問題ない。
色もデザインも気に入ってる。
でも、17歳の女子としては、どうなんだろう。
私はちょっと規格外なのかな……と、考えてしまった。
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