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おじさん
その直後である、以前、テレビで聴いたことのあるフレーズが、亮の耳に入って来た。
「やまない雨は無い!」と・・近頃、誰もが聴きなれた言葉である。
いつから居たんだろう? まるで亮たちのこれまでの話を聞いていたかのように、雨を話題にして、話の中に紛れ込んできた。
亮:「おじさん?って呼んで良かったですか?・・ 今おじさんが言った意味って・・この雨って・・ ねぇ聴いてよ⁉」
おじさん:「あぁ、ごめん、聴いてるよ・・」
亮:「・・この雨っていつかは止むってことだよね⁉」
おじさん:「そうだよ!・・君って・・明けない夜は無いって、訊いたこと有る?」
亮:「おじさん、雨の話してよ・・」
おじさん:「ごめん・・そうだったよな! 雨の話だろ・・雨が降った後はだな・・そうだ! 君・・こんな話知ってる? ・・いま、コロナウイルスでみんな辛い状況に追い込まれて居るだろうが、こんなのが、いつまでも続くはずが無い!
いずれ、こんなマスクなんて、誰もしなくて良い時代になっている、っていう話さ!」
亮:「そう言えば、おじさん?・・周りを見てごらん、マスクしてる人なんて、どこにも居やしないよ⁉」
おじさん:「あれ⁉ 本当だ・・マスクしてる人って君と私だけじゃないか⁉
そうか、それで分かったぞ! 随分とトイレに行って無かったみたいで、もう我慢できなかったんだ! 亮、ちょっとごめんよ・・」
亮:「あれ?おじさん・・僕のことを今、亮って言ったよね・・あのおじさんって誰なんだろう?・・」
おじさんは、急いでコンコースに紛れ込んだかた思うと消えてしまった。
どうやら、間に合ったらしい。
用を足した後、手を洗うのに洗面台の鏡を見ておじさんは、驚いた。
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