親子

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亮(りょう):「パパ⁉・・どうして雨って降るの?」 亮のパパ 大悟(だいご):「雨か?・・そうだな・・亮は雲って知ってるだろ⁉」  亮と大悟はJR在来線の或る駅の構内で雨のやむのを待っていた。 亮:「雲って?・・空に浮かんでる、あの白い奴のこと?」 大悟:「そうか・・そう言えば、曇って白い色をイメージするひとが多いよね」 亮:「パパ・・曇って白い色じゃないの?」 大悟:「正しく言うと、雨を降らす雲は、真っ白じゃなく少し黒く見えると思うよ」 亮:「じゃーこの雨は、黒い雲が降らしているの?」 大悟:「そうだ!・・亮、そいつを見に行こう!」  亮の手を取った大悟は、空が見える南口へ向かった。 外は依然、強い雨が降り続いていた、上がる様子など全く伺えない。 それどころか、路面を激しく叩きつけたそのしぶきは、亮と大悟の足元を濡らしてしまった。 大悟:「あれぇ、真っ黒じゃないか⁉ これじゃ分かんないよな・・ おっと危ない!・・亮、ここじゃ濡れちゃうよ、少し下がろう・・」 亮:「ホントだ!・・ パパ、大丈夫⁉」 大悟:「あぁ、パパは大丈夫だよ・・亮は?」 亮:「僕も平気だよ!・・それよりパパ・・今日は雲が無いのに、どうして雨が降るの?」 大悟:「いいや 今日も雲は浮かんでいるぞ!・・亮には少し分かり辛いかな?・・空いっぱいのグレーな雲とは別に・・ほら亮、あの黒い塊も雲なんだ!」  大悟は、グレー色のベールの中に、ひときわ黒い部分を指さした。
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