2話

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見慣れない眼鏡姿の天王寺から見つめられたら、なんか妙にドキドキが止まらない。眼鏡をかけているだけなのに、すごく知的でクールで、魅力的に映ってしまう。 なんでこんなにカッコイイんだろう、なんて見惚れてしまうほどだ。 「……眼鏡、かけるんだな」 「似合っておらぬか?」 「いや、なんていうか、……似合いすぎてて、ちょっとドキドキする」 妙に高鳴る鼓動に、俺はつい本音を口にしてしまった。 それを聞いた天王寺は、柔らかく微笑むと眼鏡を少しだけずらし、上目遣いで俺を見つめてくる。 「姫の心を奪えるのならば、普段より眼鏡をかけるとしよう」 俺がドキドキすると言ったことで、天王寺はこれから眼鏡をかけると言ったが、こういうのは時々するからドキドキするのであって、俺はそれを天王寺に言う。 「普段しないから、ドキドキするんだよ」 「さすれば、時々かけるとしよう」 天王寺は今後、時々眼鏡をかけると言ったが、眼鏡は反則だと思った。 だって、めちゃめちゃドキドキするんだ。なんか天王寺じゃないみたいで、すごく大人な感じが出て、色気がすごい。 本当にモデルみたいなんだって、女の子じゃないけど、男だってドキドキする色気。 そんな大人の雰囲気漂う天王寺に、うっかり見惚れていたら、掴んだ手をわずかに引き寄せられ、声を潜めてとんでもない台詞を吐かれた。 「その姿、まるで新妻のようであるな」 エプロンをしている姿が、そう映ると囁いた。 ブワッと顔から火が出そうになった。公共の場で恥ずかしい事いうなぁぁ! と、叫びそうになった俺は、なんとかそれを抑えることに成功し、掴まれた手を取り戻す。 「ご注文ですか?」 冷静さを保ってそう尋ねれば、天王寺は真っ赤になった俺の顔を楽しそうに眺めながら、ブラウニーの追加注文をした。 それと同時だった。 「こっちもお願いしまぁ~す」 大きな声で俺を呼ぶ声がしたのは。もちろん呼んだのは、高城だ。
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