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振り返って思い起こされたのは、今日ある決断をしなければならないこと、それに度々ちらつく「晴天下に傘を持つ人」のことだ。
それを思い出したら、頭を抱えたくなった。
『いや、だめだ』
『そんなこと、今したらカナちゃんに頭ポンポンされるに決まってる』
『あ、いやいや、今はそんなことは置いといていいんだ』
何だか頭の中が整理出来なくてなってきた。
心の中の旅路から現実に戻って、カナちゃんを見返す。
「心配してくれて、ありがとう。でも、今日はちょっと先約があって。また今度一緒に食べに行こっか」
「あっ、ミツホ先輩、デート?デートでしょ?私も前に一度会ったことある若いイケメン君だ。彼氏が先約なら仕方ない。今日は諦めます。でもいいなぁ。私も欲しいです、彼氏」
カナちゃんの言ったことは全部が正しい訳ではない。
と言うより、殆んど的を得ていないという方が正しいかも。
ただ、ここでカナちゃん相手に余計な説明をすると話しが稚児しくなるだけだし、そもそも話す必要もないので、彼女の妄想に逆らわず受け流すことにした。
「ま、まあ、そんなとこかな。じゃあ、今日は先に上がるね」
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