6/6

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
振り返って思い起こされたのは、今日ある決断をしなければならないこと、それに度々ちらつく「晴天下に傘を持つ人」のことだ。 それを思い出したら、頭を抱えたくなった。 『いや、だめだ』 『そんなこと、今したらカナちゃんに頭ポンポンされるに決まってる』 『あ、いやいや、今はそんなことは置いといていいんだ』 何だか頭の中が整理出来なくてなってきた。 心の中の旅路から現実に戻って、カナちゃんを見返す。 「心配してくれて、ありがとう。でも、今日はちょっと先約があって。また今度一緒に食べに行こっか」 「あっ、ミツホ先輩、デート?デートでしょ?私も前に一度会ったことある若いイケメン君だ。彼氏が先約なら仕方ない。今日は諦めます。でもいいなぁ。私も欲しいです、彼氏」 カナちゃんの言ったことは全部が正しい訳ではない。 と言うより、殆んど的を得ていないという方が正しいかも。 ただ、ここでカナちゃん相手に余計な説明をすると話しが稚児(ややこ)しくなるだけだし、そもそも話す必要もないので、彼女の妄想に逆らわず受け流すことにした。 「ま、まあ、そんなとこかな。じゃあ、今日は先に上がるね」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加