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【ミツホ、待たせてごめん。今そちらに向かってるから】 来た、どうしよう……取りあえずカフェを出て待ち合わせ場所に向かう。 気持ちはまだ何処かふわふわしたままだ。 足早に通路を歩き、エスカレーターに乗る。 上階に上がるとそこはもう、待ち合わせのステンドグラスのすぐ前だ。 柏木君の姿を探して、辺りを見渡しながら歩く。 周囲をキョロキョロ見渡していると、ある特徴を持った人物が目に留まった。 スーツを着て小さめのビジネストートを片手に持っている。 そして、もう方片方の手には傘が――。 一瞬、ドキッとして思わずその人に視線を向けた時、スマホの着信が更に私を驚かせた。 『メール?』そう思って手に取ると電話の着信だった。 相手は柏木君だった。 『え?今、何処?』慌てて出た私と違い彼は違和感を感じるほど落ち着いていた。 『ミツホから見て左の方。見つけた?』 言われた方向に視線を移すと、スマホを耳に当てて手を振っている柏木君を見つけた。 そちらに向かって小走りに駆け出した私を、彼の声が止めた。 『ちょっと待って。そこで止まって。そこから受話器越しに話して』
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