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『今日は一日しんどくなりそう……』
そうして、私のネガティブな一日が始まった。
負の連鎖は続くもので、デスクに座るなり後ろから頭をポンポンされた。
誰がしてるかは予想して振り向く。
『やっぱり……こいつか』そこには礼儀を知らない女子力満点の後輩、野原香菜が立っていた。
朝から、これまでの人生で不幸を知らないような、満面の笑みを浮かべて。
「カナ……いや、野原さん。職場でそういうことはしないって言ったよね?」
眉間を指で押え『私、イラッとしてます』感を業と見せて言ってるのに、キョトンとして目を丸くしている。
「ミツホ先輩、朝から頭痛ですか?編集長、ミツホ先輩が頭が頭痛だそうです!」
『くっ、全くこいつには通じていない。それどころか、仮にも出版社勤めしてて頭が頭痛って何だよ?』怒るのも無駄だと悟り、せめて心の中でツッコミを入れる。
「あ、編集長、大丈夫です。何ともありませんから」編集長に一言伝えてから、後ろの満点女子に向き合う。
「余計なボディタッチはしない、いい?」
「はーい。でも私の頭ポンポンで頭痛になったかと思って。何ともなくて良かったです」
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