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その日は何となくボンヤリとしてしまって…
やまない雨のせいにして一日を過ごしていた。
しかし…一日が終わりを迎えるに連れて頭の中に浮かんでくる映像に僕は自分の気持ちを知る事になる…
あれは一目惚れというモノなのだと…
——とにかくもう一度逢いたい…
その一心で次の日も一本早いバスに乗ろうとはやる気持ちを抑えつつ、バス停へと急いだ。
しかし…そこに彼女の姿は無かった…
次の日もまた次の日も同じバスに乗ろうと僕はまた一本早いバスに乗るために急ぐ…
…僕は彼女のいないバスに揺られながらもう逢えないのだろうか…?と沈んでいく気持ちを抑えることが出来なかった。
彼女が見ていた景色と同じ景色を眺めてみても…
僕の切ない気持ちと同じように空模様もだんだんと下り坂になってくる…
雨の中、ため息混じりに…それでもやっぱり諦めきれなくてあの日と同じように傘の列へ…
…あっ!!
あの花柄の傘は…
夢にまでみたあの人…
やっと逢えた…
逢えた…けど…
あの人に逢うことに夢中で自分はどうしたいのか…
全く考えていなかった…
嬉しい筈のバスの中…
あの人はまた曇りガラスの向こうを見ている…
こっちを向いて欲しいな…などと念じるも想いは届く事もなく…バスは駅のロータリーへと到着した。
一方通行な想いに彼女の事も知らな過ぎる。
接点など見つかろうワケもなかった…
呆気なく先に彼女はバスを降りてしまった。
進展の希望的観測はゼロに等しいのは分かっている…でも…でも…おや…⁉︎
バスを降りる時、ステップにニヤンのマスコットを見つけた…
…あの人のだ!!
…あの人のバッグから…!!
僕は駆け出した。
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