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recipe2
スープは思いの外上手に出来た。
自画自賛だけれど、薄いグリーンのスープは見た目にも爽やかで、それだけで涼しげな感じがする。ガラスボウルによそって木製のスプーンを添えれば、ちょっとしたカフェのよう。
「はぁ……。これ何?」
「枝豆の冷製ポタージュなの。」
「ふーん…」
夫の雅史は溜息と共に質問し、ポタージュスープを胡散臭そうにスプーンで掻き回した後、少し鼻に近付けて匂いを嗅いだ。一口二口をようやく口にしたようだけれど、後はそのまま残してしまった。結局夫が食べたのは、メインのハンバーグだけ。付け合せの野菜サラダも汚らしく引っ掻き回してあるけれど、ほぼ食べ残しだ。
夫の野菜嫌いは健在だ。これ位は、まあ、私の予想の範疇。
これが新婚三日目の態度なら、私は泣いていたかもしれない。
これが結婚して三ヶ月目なら、料理を勉強しなきゃと頑張ったかもしれない。
三年目だったら?怒ってストライキでもしたかもしれない。
結婚して三十年近くになれば、過去の自分の反応なんて忘れてしまった。今は泣きもせず、怒りもせずに静かに受け止めるだけだ。夫はこういう人なんだから仕方ない。
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