赤薔薇の女王様

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「今日は来てくれてありがとう。レイチェル」 「別に。暇だったから来てあげただけです」 「あはは!それでも嬉しいよ」 素っ気ない態度をとっているにもかかわらず。アスカ王子は嬉しそうに私の手を握って、ダンスホールで華麗に舞い踊った。 「なんであんな女が」 「私だって、アスカ様と踊りたいのにぃーー」 嫉妬に歪んだ目付きで、私を睨みつけてくる女性達。 それもそうだろう。誰もが彼と踊りたいと思うなかで、何故か嫌われ者の私が選ばれたのだから……。 「ねぇ。どうして貴方は私を選んでくださったの?」 こんな嫌味しか言えない嫌われ者の女じゃなくても、美人な人は沢山いるというのに……。 「……好きだからです」 「……え」 踊っていた私達の足が止まった。 今、彼はなんて言ったの? 「私が……好き?」 「はい。俺は貴女の事が好きです」 するとアスカ王子は、その場で跪いて私の手を取った。 「レイチェル・ダイアリー様。俺に貴女を選ばせて下さい。俺ならきっと、貴女を幸せにしてみせます!」 「ア、スカ……様」 こんなに真剣な告白をされたのは初めてだ。 嬉しい。 皆の憧れの王子様に好意を持たれるなんて……凄く嬉しい。胸もちゃんとドキドキいってる。 アスカ王子は、こんな私を幸せにしてくれると言ってくれた。選ばせてほしいと言ってくれた。 コルク王子はきっと……これからも私を選んでくれることはないだろう。 アスカ王子なら、私はーー。
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