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「南ってさぁ、相馬さんと付き合ってるの?」
「は?」
食後のどかな昼休憩の時間。クラスの別グループであるところの山本くんが珍しく話しかけてきた内容に僕は思わず固まってしまった。
南というのが僕であることは僕に話しかけているのだから間違いない。
相馬さんというのも恐らくうちのクラスの相馬さんのことだろう。
そして付き合ってるとは恋人同士のお付き合いのことだよな。たぶん。
「どうなの?」
「どうなのって言われても。どうしてそんな話に?」
あまりにも脈絡のない話に質問に答えるよりも質問が先に飛び出してしまう。
「女子が言ってた」
「女子が?」
一体だれがそんなことを。
「そんで本当なの?」
「いや、知らない。ほとんど話したことないし」
「あっそ。……まぁそうだよな」
山本くんが照れ笑いのような妙な表情を浮かべながら去っていく。彼が興味を持っているのはきっと僕ではなく相馬さんの方だろう。
山本くんには確か彼女がいたと思うけど、それでも相馬さんに彼氏がいるかどうかというのは彼にとってわざわざ普段滅多に話さないクラスメイトに問いただすくらいには関心度の高い話題のようだ。
まぁもし相馬さんに彼氏がいたとしたら山本くんだけではなくクラスの男子ほぼ全員にとって「悲報」となるだろう。相馬さんとはそういう人だ。
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