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朝の気配がする。
太陽が水平線から顔を出し、僕の小さな世界が目覚める。夜に彩られていた空気が、輝きに切り裂かれて、新しい今日が始まる、そんな気配。
抵抗したいのに、抗う術を持たない僕は瞼をふるわせる。感じていた明るい朝の気配とは裏腹に、知覚し始めた僕の視界は暗く、狭く、全身を圧迫感と安心感が包んでいた。
もう、何度目になるだろう。それは少しの照れと、心が満たされていく実感を旋毛から足の爪の端まで感じる、擽ったくも幸せな時間。
僕は、好きな人の腕の中で目を覚ます。
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