rain

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 私は導かれるように懺悔室へと戻っていた。どんな不安があっても懺悔室(ここ)いると心が穏やかになり安らぐ。狭いところが好きなのかな。 「おかえり、僕のマリア」  優しくて心地よい声。それは私の愛した父でも私の知ってる司祭のものではない。しかし何故か快然たるものだった。 「ただいま……お兄さま……」  教会の中では止む気配のない雨音だけが鳴り響いていた。
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