unstoppable

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 最近、刺さるような視線をたびたび感じる気がする。もちろん誰かはわからない。もしかして私と彼の関係に気付いた友人なのでは……と考えもした。  しかしそれならそれで仕方ないし、言い訳を取り繕おうとも思わなかった。ただその事実が親の耳に入る事だけは避けたかった。  ある日その思いとは裏腹に、村から友人夫婦の姿が忽然と居なくなった。『引っ越したそうだ』と耳にした。友人とは一緒に別れを悲しんだりお別れ会をするほど親しくはないが、彼は多少なりとも心を許した仲だ。一言欲しかった……といえば贅沢だと思うし、友人に余計な勘ぐりを入れられても困るので、何も言わずにいなくなってもらえた方が安心ではある。 「きっぱりと諦められた気がしました」 「……そうですか。しかし過ちを犯した罪を忘れてはいけませんよ」 「はい、司祭さま」  教会の片隅にある懺悔室で司祭に報告をしていた。  罪の意識って何だろうと悩むこともある。私が彼を愛したことは罪なのだろうか? 愛する人がいるのに好きになることは罪なのだろうか? 『』と思ったという物事が罪になるのだろうか。  ただ、どんな理由であろうと倫理に反していれば、それは罪という名を枷を負わされるのだろう。 「マリア、貴女は罪深い方だ」 「司祭さま……」  司祭の言葉が私を見透かし貫いているように聞こえた。  不思議な視線の事を話した方がいいのか……それとも神にも言えていない秘め事か。 「私は司祭さまに何も話せていない……」 「ええ……話したくなったらで構いません」  お祈りをしてその場から立ち去ろうとした時、『神は全て見ています』という声が微かに聞こえてきた。  友人夫婦が引っ越してからも感じるあの視線はなのだろうか。  外へ出ると雨が降り始めていた。雨具を持っていないので、少し足早で帰ろうと帰路につく。
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