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「マリア」
「お父さま……」
その身体中が温かくなる声に私は転びそうになりながら駆け寄った。
いつものように家の入り口で待っていてくれる父。優しく頭を撫でられると私の顔は綻んでいく。
「おかえり」
顔が近付いてきて耳元で言葉を口にしたと同時に私の腕を掴むと、勢いよく部屋に引き入れられる。そのまま倒れ込んだ私の上に父は覆い被さった。
「お父さま……お母さまは?」
「息子のところへ行ったよ。二、三日は帰って来ないんじゃないか」
普段よりも少し低めの声音で話した父は、私の顔をゆっくり慈しむように優しく撫でた後、うってかわって貪る程の激しい口付けを求めてきた。
「しばらく人の目を気にしなくてすむ……」
「お父さま……私……」
顔を逸らせて汚れた体を見る。薄汚れた体をさらけ出してもいいものか。
「そのままでいい……そのままのマリアがいい。何があろうとも俺が全て綺麗にしてあげるよ。それに……もう我慢はできない」
私の髪を触りながら何度もキスをしていた父は、胸に顔を埋めるとスカートを捲り上げて中に手を入れてきた。小さな吐息が漏れた私は、そのまま体を預けていつもは出せない程の大きな声で喘いだ。
二人で幾度となく体を重ねてきた。しかし今日は今まで以上に強く求めてきた父を感じて、きっと友人の夫との関係に気付いていたのだろうと思った。
そんな父の思いを考えると、激しく壊れてしまいそうなほど痛いにも関わらず、私は恍惚感に浸っていた。
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