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「視線?」
「ええ……よく感じるんです。確証はないんですけど」
視線は何者なのか……友人でもその夫でもない。父との関係を知った母かとも思ったが、彼女の不在中も見られているような気配があった為それも違うみたい。
もしかしてお父さま? だが刺さる程の痛い視線。それはない……今は違うと信じたい。
私は両親に溺愛されていた。しかし何故か、数年前に二人は離婚した。原因はわからないままだが、当時母が付き合っていたのが今の父になる。
その時からずっと感じていた父の視線……とろけそうになるくらいの熱い視線。この人は私に会うために母と結婚したのではないかと思うほどの……。
もしかしてこの人も人のモノが欲しいという感情になってしまうのだろうか。そう考えると親近感というより愛おしくなってくる。
別のモノに興味が移れば捨てられるかもしれない……母のように表面上だけの関係なるのかもしれない。それは私にも言える事……だから今はこのまま……。
「何を考えているんだい? 視線の犯人?」
「うん……気になって」
「犯人は俺なのかな? ……ずっとマリアを見つめているから」
優しい父の体に包まれた私は一抹の不安を伝えると、安堵したのかそのまま眠りについた。
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