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空がどんよりと厚い雲に覆われた中、私は教会の前に来ていた。ここに来るのは久しぶりな気もするし、先日来たような気もした。よく覚えていない……私の記憶は曖昧だ。
ただ……数週間前父が死んで、数日前、後を追うように母も消えてしまった。
大切なモノが目の前から一度に奪われた。
何でこうなったのか……何が駄目だったの。何かを求めることは罪になるの??
何かを奪われることが罰になるのなら、もう何もいらない。何もいらない。いらない。
この後どうすればいいの? 先のことが脳裏を過るが薄ぼけて何も見えない。
私は知らない。何もかも知らない。これまでどうやって暮らしていたのかさえわからない。
もしかして欲しがっていたのではなくて、そうやって与えられていたのだろうか。私は動物のように本能のまま生かされていたのだろうか。
ぽつぽつと雨粒が降ってくる。空を見上げた私は 、喪失感に囚われながら教会の中へと足を踏み入れた。
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