12 ネオン

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12 ネオン

ネオンのような飛行機のライトが、ビルの影に消える。 あぁ、あの光についていってみようか。 そしてそのままどこか遠くへ、誰も私を知らないところへ、消えてしまおうか。 そしたら帰れるような気がする。 ただもっと、純粋な幸せを追いかけていたあの頃に。 そうたとえば四つ葉のクローバーを探して、草むらを駆け回っていた頃の私に。 何もかも捨てられる。 焼け付くような孤独も、あなたも。 手の中で鍵が音を立てて、ふっと意識が戻る。 あぁ、あの部屋に帰ろう。
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