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「そこまでおまえがやるのか?」
永盛は驚く。
「おれが最初から最後までやってきた企画だからな。どんな具合になるか、最前線で見ていたいのさ。そっちは主役で、おれは監督のような感じだな。まぁ、こんな仕事もいいんじゃないか。一つのイベントを指揮してやり切るのも達成感がある」
背中を向け、勾配のある客席を出入口へと登っていく五崎。
「じゃ、僕たちもしばし休憩だ」
永盛はアリサに言った。
「はい、緊張しますね」
MCもアリサの担当だ。歌以外のトークは初めてだ。なにを語るかも考えてきていた。
いったん控室へ引き上げようと舞台袖から奥へと行くと、そこには今度はアリサの両親が来てくれていた。
「がんばりなさいよ」
アリサ母が声をかけると、
「うん、しっかりやるわ」
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