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満足
10年前、私のクニでは戦いがあった。
私のクニは山に囲まれていた。
キノコに木の実などの山菜や猪に鹿など、山の恵みに溢れていた。
でも、海の幸がなかった。
取れる魚は少ない。だから魚は珍しかった。
それをクニの王は疎ましく思った。
だから、海のある隣のクニを攻めた。
相手も丁度攻めてくるところだった。
激しい戦いだった。
多くの人が死んだ。
私の友もだ。
そこで、私は王に作戦を提案した。
戦うのはいつも山中。
地の利があるのはこちらだから、
所々に罠を仕掛けて、堀を作って、
相手をより効率よく倒そうと言った。
作戦は上手くいった。
その勢いで隣のクニを制圧した。
友を殺した男も見つけた。
勿論殺した。
そのおかげで私は王の右腕となった。
珍しかった魚も珍しくなくなるほど食べたし、
裕福になった。
綺麗な妻もできた。
ある時、妻が泣いていた。
何故かと聞くと、先の戦いで貴方達に倒された
男は私の夫だったという。
私は妻を愛していた。
ふと、思った。
私の頭を人を殺すことでなく
分かち合うことに使っていたら、と。
そうすれば、誰も悲しまずにすんだのではないかと。
私の妻も、私も。
そう思うと悔しさが溢れてきた。
こんなに単純なことに何故気づけなかった。
悔しかった。悲しかった。
だから、後世に伝えようと決意した。
もう過ちを繰り返さないように。
硬く、決意した。
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