正義

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正義

10年前、私の国では戦争があった。 世界を巻き込んだ大戦だ。 私の国は尊の方が最高権威だった。 尊の方の為に戦っていると信じていたし、 尊の方のためなら死ぬのも惜しくはなかった。 国のためだ。仕方がない。 我が国の軍事力は凄まじいものだったし、 今までにも、大国を2つも破ってきた。 戦時中だって、新聞では次々に戦艦を撃破しているとあった。 やはり我が国は素晴らしいと思った。 だから、その正義の行いを「おかしい」などとほざく奴らには鉄槌を下した。 そんなもの国の民ではない。 そう思った。 だが、我が国は戦争に負けた。 すぐに敵国の人々がこの地を制圧し、改革を進めた。 何故、降伏などしたのだと怒りに燃えた。 我が国の正しき行いが何故負けるのかと疑問に思った。 私の元に沢山の情報が飛び込んできた。 それによると、全ては嘘だったという。 次々に戦艦を撃破したというのも、 尊の方が神だというのも、 全てが。 私は思った。 正義とはこんなにも脆いものだったのかと。 嘘とはこんなにも人々を支配できるのかと。 もう、人に正義は託さない。 自分が何が正しいかを見極める。 そう誓った。 後世にもこれを伝えようと、 熱く決意した。
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