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枯渇
10年前、俺のムラでは争いがあった。
その年は木の実が実らず狩の獲物もいないから、皆腹が減っていた。
餓死した奴もいた。
そこに丁度一頭小さな子供の猪が余っていた。
皆これを欲しがった。
それは俺だって欲しかったし家族を守るためにはそれを得なきゃいけなかった。
だから、争った。
殴って蹴って、女子供はいなかったから男と男
が殴り合った。
最後に残ったのは
喧嘩の強いおれと、狩の得意な親友だった。
俺達は闘った。
アイツは頭で、
俺は力で、
それで俺が勝った。
アイツは死んだ。
そして、小さな猪を嫁と息子と一緒に食べた。
うまかった。
今まで食べた猪の中で一番美味しかった。
嫁も息子もうまそうに食べた。
ふと俺は思った。
アイツともこうやって一緒に肉を食べれたんじゃないかって。
少し、少しだけ我慢すれば。
一緒に食べれたんじゃないかって。
そう思って、
外にでた。
でも、誰もいなかった。
死体だけだった。
涙が溢れてきた。
肉はこんなにうまいのに。
とめどなく涙が溢れてきた。
絶対に、
もうこんな過ちは
犯さないと心に誓った。
後世にも過ちを伝えていこう。
そう、決意した。
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