想像の翼

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また彼は、毎年発表される各雑誌の新人賞はもちろん、芥川賞や直木賞など主だった賞の受賞作と候補作も全て読んでいる。で、おそろしいほど的確な評をする。 直人に自分の小説を読んでもらったことがある。彼が言うにはこうだ。 「文章はまあまあだが、長すぎる。但しこれは訓練次第で改善される余地があるからまだいい。問題なのは、どの作品にも既視感があるということだ。どれも、この話どっかで読んだことあるなあって思ってしまうんだ。想像の翼が広がりきってないんだろうな」 消して僕を傷つけようとして言ってるのではないことは、よく分かっている。直人はハッキリものを言う男だ。だから僕は彼が好きだ。 想像の翼が広がりきってない。いや広がりきってないどころではなく「無い」んだ。直人は僕の能力のことは知らない。
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