想像の翼

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直人の翼は、平均をはるか大きく超えている。直人こそ、作家か編集者になれば、すごい傑作を生みだせると思う。そう言ったら、 「傑作を生みだすのは他人の仕事なんで。俺は、傑作を読みたいだけなんだ」 と言って笑った。直人はシュークリームの工場で主任をしている。 僕はいま、この独白をドトールで書いている。 隣の席の親子が席を立った。去り際、少女が僕に言った。 「お兄ちゃん、天使の翼が生えてる」 驚いて僕は顔を上げた。 「天使の翼って、天使の翼みたいに小さい翼、ということ?」 「うん。とっても小さい翼。でも、キラキラ輝いてる」 何してるの早く来なさい、と母親に言われて、少女は去っていった。 僕は、ペーパータオルで涙をそっと拭った。
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