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 印刷前工程(プリプレス)講座は今回もまた無事に終了して、睦月はまず新橋本社で滝本社長と面接し、さらに我孫子サテライト・オフィスで樫木所長と俺から面接を受けた。  もちろん例のプロジェクトの目的もあるが、純粋に睦月はこの業界に向いていると俺は直観したのだった。  睦月も社会人としての基本はしっかりしており、即戦力とまでは言わないものの、ちょっとの経験で普通に仕事を任せられる、そう感じた。  その後、俺はまた樫木所長から屋上へ呼ばれた。 「睦月くんなかなかいけそうだね」  ──どっちの意味ですか? 「両方の意味だね。社長も面接して一撃で陥落したみたいだ」  それと、と所長が続けた。 「彼の身辺調査を探偵社にはじめさせているよ」  ──たしかに係累(けいるい)がいたりしたら困りますからね。  そうそう、と所長。  ──ただ、一つ気になるんですよ。どうやって男の娘に仕立て上げますか?  それは、と所長が答えた。 「社長がしかるべき報酬を与えてお願いする、今のところはそんなものかな」  ──そんなすんなり事が運びますか? 「わからない。でもたしかに睦月くんはきみが言う通り素質がありそうな眼をしている」  そう、潤みがちなあの眼。  だが、予想外の展開があったのだ。それについては別項で書く。  その前に、睦月もまた、松田の爺の被害にあったのだ。
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