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そして昼休み。意外なことに女子社員に可愛がられていた。アクシーズ似合ってるとか、メイクはどういうふうにやったの? などなど。
そんな質問に、必死で女の子のような声が出るよう小声で、はにかみながらジゼルはていねいに答えるのだった。
あとで俺はジゼルに提案してみた。
──通勤だけは普通の服で……メディア・フロンティアはとくにスーツにこだわらず、よほどのものでなければ平服でかまわない会社だから……それで行き来したらどうか、と。
「社長や所長に、通勤時も女装していること、と釘を刺されたんです」
新橋オフィスへはさすがにきついのでビジネスホテルに宿泊はできませんか? とお願いすると、社長は言った。
「これは『ポポイ!』誌でやらかした責任をこうやって償っているのだろう」
とにべもなく返された。
だが、翌日、ジゼルが満員電車のなかでまた痴漢に遭い、今度は彼女のお尻のあたりに精液がかけられた。さすがに社長も考えたのか彼女だけはビジネスホテル住まいを認めてくれた。
「別れ別れがつらい」
──職場でなら会えるじゃないか、それか勤務後も。
「でも先輩と一緒だったら満員電車も苦にならなかったのに」
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