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 所長はああ、と(うなず)くと、社長もそういう趣味もっているんだよ、と付け加えた。社長も、と聞いてあまり意外な感じはしなかった、社長はちょっと太った体型で、顔、とくに眼が見るからにいかにも助平な初老の男、だったからだ。  ──で、わざわざ呼び出したのは、どういうことなんですか、樫木さん。  樫木所長は一瞬、好色そうな微笑みを見せて、こう答えた。 「社長とあるプロジェクトを進めている。もちろんメディア・フロンティアの仕事とはなんら関係ない、男の娘の件で。きみもぜひ入ってくれたまえ」  ──それは喜んで、といいたいところですが、具体的にはなにをするんです? 「当面は男の娘専門の優良店やいけるの報告程度だが、プロジェクトの目的は、社長、上林くん、それに僕で、理想の嬢を作り上げることにある。きみはときどき社が開催するソフトやプリプレスの講師もやるだろう? そのときにでも良さそうな素材がいたら確保して欲しいんだ」  わかりました、と俺は答えた──そんなうまく話が進むのかと危ぶみながら。そして、呼びつけられてまさかこんな話題になるとは。  どうかすると樫木所長や滝本社長となのかもしれないのか……。
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