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「ちょっと、待って…。」 勢いよく彼女を抱きしめ、毛布の中から抜け出した佐竹は福瀬を押し倒した。数時間前に膨張することのなかった佐竹の陰茎は既にはち切れてしまいそうなほど熱を持った鉄の棒になっている。それをぐりぐりと押し付けるかのように全身で圧迫しながら、佐竹はがむしゃらに彼女の匂いを嗅いだ。ワイシャツの隙間から香る福瀬朱里の肌はくらっとする程人を誘い込む匂いでいっぱいだった。いくら吸い込んでも消えることのない濃厚なフレグランスに後頭部を殴られ、佐竹は無理やり唇を重ねた。 ただ大袈裟な笑顔を浮かべるだけだと思っていた福瀬の唇は千切れてしまいそうなほど柔らかく、それでいて噛み切れないような弾力もある。唾液を交換して彼女の胸に触れた。 普段制服の上からでは分からない、大きな乳房が手のひらから逃げようとする。下着越しでもしっかりと感触が伝わった。理性を失った獣のように体の上を畝る。自分が地上を襲う龍にも思えた。 スラックスのベルトとホックを片手で外し、同時にボクサーパンツを下す。下半身を露わにした佐竹にとって、今の季節が冬であることを忘れさせるほどの熱が体表を駆けていた。普段オナニーをする時よりも大きく感じる自らの肉樹を、まるで大砲の弾を持つかのように手に添える。スカートの裾をめくって福瀬のショーツを脱がそうとした時、彼女は上半身だけをくねらせてベッド下の学生鞄に手を伸ばした。中身をごそごそと探りながらショーツを脱がされる彼女の絵を俯瞰的に眺める。財布から抜いたのか、福瀬は避妊具の小袋をこちらに差し出した。 奪い取るようにそれを持ち、包装を剥ぐ。一度だけ反対側を宛てがったが、すぐさま逆にしてペニスを包み込ませる。爪先にショーツがかかって福瀬の膣が露わになった。鬱蒼とした黒い針金の奥に桃を絞ったような色の花弁が光る。アダルトビデオでは荒いデジタルに守られた女性の秘部が、今目の前にある。止まることのない勢いに任せて、彼女の中に挿入した。 「うう…あぁ…。」 薄いビニール越しでも伝わる彼女の濡れた内部があまりにも気持ち良く、佐竹は全長を仕舞い込んで唸った。淫らに足をぱっくりと広げる福瀬は毛布を握りしめている。確かに彼女は美人で、とうに彼氏がいると思っていた。だからこそ一生見ることはないだろうと思っていた福瀬の淫らな姿が臀部を蹴り上げようとする。性行為の経験がない佐竹は見様見真似で腰を振り始めた。 奥へ奥へと進もうとする度に侵入を阻む濡れた洞窟が、ゆっくりと壁を縮めて探検隊を苦しめる。それが何よりの快感だった。彼女の腰に体をぶつけていく。手で済ませることに慣れているからか、すぐに射精してしまうことはなかった。 これで早川茜を忘れることができるのだろうか。彼女だって今の福瀬と同じように淫らな姿を彼氏に見せているのに、ただ腰を振っているだけでそれらを抹消することは可能なのか。今も頭の片隅で自分に微笑んでくれているのではないか。あのネックレスを渡せば全てが変わるのか。考えるだけ無駄な思考が脳内を駆け巡る。それも相まって佐竹は腰を振り続けることができた。 「待って、またいく。」 上半身を反らして、福瀬は2度目の絶頂を迎えた。肌全体が細かく痙攣を始めている。余韻をため息にして吐き出しながら福瀬はキスを求めた。 童貞という言葉が遥か向こうに感じるほど、佐竹はこの空間に酔いしれていた。
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