第二章

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久しぶりに会ったキミは何となく変わった気がした。少し大人びた、落ち着いた雰囲気になった気がする。駅で佇むキミを見つけたとき、初対面かと思ってしまうほどにキミは変わっていた。 「久しぶり、元気にしてた?」 「まあ、ボチボチかな」 「なにそれ、オジサンみたい」 「もうすっかりオジサンだよ。キミもオバサンだよ」 「ひどーい!…でもまあそうか、オバサンかもね。よし、じゃあ行こ?」 ちゃんと話せただろうか。声が裏返ったりはしなかっただろうか。大丈夫のはずだ。ちゃんとボクは昔のままのボクだったろう? 居酒屋に入り、テーブル席がいっぱいでカウンター席に座ることになった。 軽く注文した後、キミは何を入れるためかわからないぐらい小さなカバンからタバコを取り出し、くわえだした。 「あれ?タバコ…」 「あ、そうそう吸い始めたんだ。ちょうど二年ぐらいになるかな?」 火をつけながら彼女は言った。 「そうなんだ、じゃあボクも吸うよ」 びっくりした。ボクもポケットからタバコを取り出し、くわえるとキミがライターの火を貸してくれた。 「てか、まだそのタバコなんだね。Peaceだよね」 「ああ、まあね」 その一言にドキッとした。ボクは変わらず同じタバコを吸っているだけなのに、ひどく情けない気分になった。何も変わってない、そう言われた気がした。ボクの横でタバコを吸うキミの姿は全然見慣れないものだ。そうか、キミはキミだけど、ボクが知っているキミじゃないんだよね。悲しくないよ悲しくないよ。キミが変わっただけだから。でも、それでも懐かしさを感じるのはなぜだろう。横にいるキミとの思い出があふれ出すのはなんでだろう。 「ああ、そうか」 「ん?どうしたの?」 思わず口に出してしまった。タバコ片手に不思議そうな顔でこちらをキミがこちらを見ている。 「ううん、何でもないよ」 「変なの」 分かった。変わってないんだ。キミの香水だけは。
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