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「香枝あんた、男嫌い嫌いっつーのも今はいいかもしらんけど、こっからどないすんの。社会出てけぇへんやないの」
「女百パーの職場で働く」
ありえへん、といつもの彼女なら首を振るのだが、
「お局みどり、嫌いやん」
うん、くそむかつく、と即答した時点で負けていた。
「大学の男教授も近寄れん。コンビニのにーちゃんもきしょくわる。電車もラッシュは乗れん……って、支障ありまくりやん。
やからなぁ、慣らしてかな。香枝やって、このままやとあかん思うとるんやろ?」
「そう、なんだけどね」駅員にーちゃんも怖いってどんだけよ。
「店長の重野(しげの)さんな、ほんまえー男やで。香枝ちん、意外と面食いやから、絶対気に入るわ」
その日のうちに履歴書と写真を準備させられ、気づけば面接の電話をしていた。
全く、彩夏の行動力といったら、恐れ入る。
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