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 今まで見てきた中で一番美形な人だと思う。   「重山さん、か。二年生なんだね。学校楽しい?」    曖昧な反応しか返せない愚純な小娘。自分だったら雇わない。   「ウチ、いま三人しか居なくってね。今月一人辞めるから今すぐにでも来て貰いたいな。週何回入れそう?」   「四、五ですかね。試験前以外でしたら毎日でも」   「おっ、結構行くね」    大学通わせてる時点でお金はかかっている。小遣いは自力で稼ぐべし。    家から一歩も出ない……大学を休んでいた時期があった時点で、親には心配をかけている。    これ以上の負担はかけられない。   「そっかそっか。じゃー採用!」    そんな簡単で良いのか。    そして、どう見てもヤン上がりだ。元ヤン。    焼き肉屋の店長やるより、ホストが似合ってそうだ、失礼ながら。    思考惑うあたしをさておき、彼は席を立ち、   「よろしくね、重山さん」    久しぶりに触れる男性の手だった。    予想していたほど怖くはなくて、例えば彩夏の手よりは骨っぽくて大きいけど、そう思えばそれだけのことで、ほっとした。    テーブルの下の足が震えていたのは隠せていたと信じたい。
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