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言葉と共に迫る腕。薙ぎ払った。それでもヘラヘラ近づく奴。その辺に転がるクッションでぶっ叩いた。
「ってえなー、なにすんすか。さっきしごいてたじゃん」
「来るな、あたしに触るなぁあ!」
何故、さっきはそれが言えなかった。馬鹿かあたしは。
「浅岡としょっちゅうやってんの?」
なわけねえだろ。
あたしのかばんはどこだ。
散らかった部屋、奴の背後には遠い出口、あたしの背中には窓。じりじり追いやられながらも、目線で必死に探す。玄関に置きっぱだったか……
「こーれ、重山さんのっしょ」
恰幅の良い奴が背中に隠していたのは、あたしのお気に入りのハンドバッグ。
くそみたいなこいつらと一緒にバイトした金で買った、なけなしの。
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