1604人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
「だからさ、浅岡とサキちゃんデキてんの。もち、伊藤は帰ったよ。いっくらなんでも、三人は無いっしょ」
口内に残る、屈辱の味。からだには、なぶられた感触。
おっ立ててたあいつはつまり、
女を抱く前のエサにあたしをした、と。
全身から力が抜けた。足元が崩れる。
ぐるん、と脳が裏返るみたいだった。
「あーあー、香枝ちゃん、浅岡に気ぃあったんしょ。かっわいそーにね。あいつ、ツラと人当たりはいいしね」
「さっ……」
全身が総毛立つ。こいつの腕に巻き込まれている事実、反吐が出る。
「触るなああっ」
突き飛ばして逃げたつもりだった。
が、投げ飛ばされたのはあたしの方だった。
背中を強く打ちつけた。浅い意識に、割りこむ足音。前をかばったが、大した効果は無かった。
次に気がついた時には、くわえさせられていた。
生まれて初めて触れた性だった。
未遂だったのは不幸中の幸いだった。
最初のコメントを投稿しよう!