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「だからさ、浅岡とサキちゃんデキてんの。もち、伊藤は帰ったよ。いっくらなんでも、三人は無いっしょ」    口内に残る、屈辱の味。からだには、なぶられた感触。    おっ立ててたあいつはつまり、      女を抱く前のエサにあたしをした、と。      全身から力が抜けた。足元が崩れる。    ぐるん、と脳が裏返るみたいだった。   「あーあー、香枝ちゃん、浅岡に気ぃあったんしょ。かっわいそーにね。あいつ、ツラと人当たりはいいしね」   「さっ……」    全身が総毛立つ。こいつの腕に巻き込まれている事実、反吐が出る。   「触るなああっ」    突き飛ばして逃げたつもりだった。    が、投げ飛ばされたのはあたしの方だった。    背中を強く打ちつけた。浅い意識に、割りこむ足音。前をかばったが、大した効果は無かった。    次に気がついた時には、くわえさせられていた。      生まれて初めて触れた性だった。    未遂だったのは不幸中の幸いだった。
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