◇2

2/5

1604人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
 一年経つというのに、未だ記憶に蝕まれている。  季節は色を変えていくというのに、どうしたら抜けられるのだろうか。    現に今、通路を通るだけの男店員にさえ鳥肌が立つ。席はなるだけ四人掛け。人と接せぬよう、窓際ぎりぎりに座る。    この様子に気づいたのか、彩夏はコーラフロートを飲みながら眉を歪める。   「香枝ちーん。いまの子かっこよかったなぁ」   「興味無し。虫唾が走る」   「女やったらいいんね」   「うん、それでいい。あたし、彩夏と付き合おっかな」   「付きおうとるようなもんやないの、こーんな一緒におんねんから」    互いにそんな趣味などないのだが、互いに笑った。    彼女と出会ったのは、合コンの場だった。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1604人が本棚に入れています
本棚に追加