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花の女子大生。それも、二年生ともなってようやく合コンデビュー。こんな人間は世にあたしだけだろう。
異性と接するのが目的とされる場において、何故だか彼女と意気投合して二人、フケた。カラ館で歌いまくった。音痴気味なあたしに比べ、びっくりするほど上手かった。
「声の出し方にコツあるんよ。あ、あたし、大島(おおしま)彩夏。よろしくなぁ」
苗字を知ったのは、入って二時間経ったのち。
聞けば彼女は同郷出身。大阪在住を経て、三年前から東京に住みついている。所謂フリーター。
自由人イコール夢追い人で無責任なモラトリアム、なんて偏見は、彼女と出会って完全に覆った。
歌うことも小説を書くことも、小難しい資格を取ることも目標だという。
超絶的リアリストのあたしにとっては失笑ものの話だが、彼女の瞳はどうにも輝いている。
『なーんでもやってみな、分からんよ』
からから笑って言われれば、なるほどそうかも、と思えてくる。
四六時中バイトまみれのくせに、浜崎あゆみを溺愛し、流行を追いかける。大学出でもないのに難解な本を読み漁る。
万物に対する情熱と情愛は、見るものを魅了する。
あたしと彼女の仲が良い理由にはおそらく、
『最後までされんかったんやから、まだええやん。きっついけど、ましやと思わな、あかんよ』
彼女が似た……いや、あたしよりも過酷な経験の持ち主、ということも含まれる。
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