少年ミィの物語1「川べりの蛙」

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少年ミィの物語1「川べりの蛙」

2c1c8619-c4b9-4b45-a902-461e0bc93705ミィは目を見開いた。 典行がつかまえた蛙を川べり目掛けて投げつけたからだ。 ミィは典行の行動を見てぎょっとした。 蛙は川べりにぶつかり「ゲェェ」という叫び声をあげた。 可哀想に。 蛙は死んでしまったのだろうか? ミィは典行の表情をうかがった。 典行はうつむきがちで表情が見えなかった。 ミィは心の中が落ち着かなかった。 蛙の叫び声がまだ、耳の中に残る。 「蛙がかわいそうだよ」ミィは典行に言った。 典行の隣にいる知明が足元にいる蛙をまた一匹捕まえる。 「ミィは保健係だからそういうこと言うんだよ」 知明が言う。そうなのか?保健係でないとむやみに蛙をとって、川べりに投げつけても可哀想とは思わないのだろうか。 ミィは知明の言葉が正しいとは思えなかった。 「ミィもやりなよ」典行がニヤニヤして言った。 蛙が一匹ちらっとこちらを見たような気がした。 ミィは足元の蛙を一匹捕まえる。 蛙をじっと見た。 蛙は何も知らず遠くの山を見ているようだった。 ミィは目を瞑った。 そして、蛙を川べりに投げつけた。 蛙は川べりにぶつかりやっぱり「ゲェェ」という叫び声をあげた。 その瞬間ミィの心の中に泥水のようなものが流れ込んだ。 悲しかった。保健係かどうかは関係ない。 小さな生き物が自分の手で死んでしまうことが耐えられなかった。 ミィは典行と知明を見た。 典行と知明は喜んでいるでも悲しんでいるでもない、 ただ、蛙を投げることに一生懸命な表情をしていた。 ミィはそのことが一番悲しかった。
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