消去法の末に……

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ゼウスが考えている内にたどり着いたのはトロイア王国、天に聳える城壁はポセイドンとアポロンの力によって作られているために信仰としては中立、築城の際にアテナの神像こそ与えているがあくまで街の繁栄と守護を願ってのこと、アテナそのものの信仰があるわけではない。ゼウスはトロイア王国こそが中立であると考えに至った。 そのトロイア王国にも神の信仰に程度がある、ここで三女神のうちの誰かを深く信仰するものを選んでは水の泡だ。特に王国の者達は絶対に誰かしらを深く信仰している。 王国の関係者でなく、私の血筋である確かなものはいないだろうか…… ゼウスはトロイアの城壁を離れ、辿り着いたはイデ山の上空。そこに羊飼いをする逞しい青年の姿を見かけた。 「あれは、トロイアのパリスではないか。確か神の啓示で王子の地位を失い捨てられた子…… 今は山奥で羊飼いとは…… 世が世なら王であったかもしれんのに」 パリスこそがゼウスの考える「王国の関係者でなく、私の血筋である確かなもの」であった。特定の神に対しての集中的な信仰を持たず、ゼウスの血を引くもの。 彼ならば公正に判断が出来、神の血を引くものであるために最高の人材だ!  ゼウスは伝達役のヘルメスを呼び出した。 「ヘルメス! 今すぐに三女神をここに連れてくるのだ! 世界で一番美しい女性を決める時が来たと伝えるのだ!」 まぁた、うちの親父が下らないことを考えたな。偉そうなこと言ってるけど、どれ選んでも面倒なことになるから他所様に意見投げただけじゃないか。 まぁ、どれ選んで揉め事になったとしても面白そうだからいいんだけどね。 ヘルメスは含み笑いを浮かべながら三女神の召喚のためにオリュンポスへと自慢の足で飛んでいくのであった。
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