消去法の末に……

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イデ山を散策するパリスの前にゼウスが現れた。 パリスはいきなり大神ゼウスが現れたことに畏れを覚え膝を折り手を合わせ拝み倒す。 「パリスよ、今日はお前に頼みがあってこの地に来た。お前の純粋な曇りなき(まなこ)で審判を下して欲しい」 「私めのような羊飼いにですか? 荷が重すぎます」 「神の命令を拒否することは許さん」 「はっ!」 「お、きおったな」 ヘルメスに導かれ三女神が降臨する。三女神の心の中は既に「自分が勝利したもの」だと思い込んでいる。ヘルメスはそれを見て「ナルキッソスを笑えないな」と、思いながらほくそ笑む。 「三人の女神のうち、誰が一番美しいかを判定し、この林檎を渡してやってほしい」と、言いながらゼウスはパリスに黄金の林檎を渡した。パリスは黄金の林檎を宝物か何かを扱うように両手でしっかりと受け止める。 パリスは「とんでもないことを頼まれたものだ」と、思いながら三女神の顔を見る。三柱とも媚びるような笑みをパリスに見せていた。
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