消去法の末に……

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まずはヘラ。三柱の中では一番年上で熟女の熟れた妙齢の女性と言う印象をパリスは見受けた。透けるベールから見える髪の毛のアンパン巻き(バン・シニヨン、お団子ヘア)も美しい。しかし、美人は美人なのだが、目がつり上がっており、常に何かに対して怒っていそうな性格のきつさが見て取れる。 パリスがヘラをこう評していると、ヘラが風に揺れるベールを翩翻と翻しながら優雅なステップを踏んでパリスの元へと距離を詰めてきた。そして、パリスに甘い吐息混じりに耳打ちをする。 「私を選んでくれたら、この地上の支配者にしてあげるわ」 ヘラは自分の美しさに絶対的な自信を持っていた、だが、それは他の二柱も同じで、自分に勝るとも劣らない美しさを持っている、そこは認めなくてはいけない。パリスだって同じような美しさを持つ三柱から一柱を選べと言われてもきっと迷うに違いない。ヘラはパリスに賄賂を与えることにした。ヘラは大神の妻で権力の座にある女神。権力はこの三柱の中で一番持っている。羊飼いを地上の王にすることなど容易い。
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